幸運な1日 | 人種のルツボでカリフォルニア生活

幸運な1日

「1ドル見ぃ~っけ!」

突然傍らにいたフィアンセが、道路に落ちていた1ドル札を拾い上げた。土曜日の朝、レンタカーを借りに行く為、バス停へと歩いていた道の上の出来事である。デートの始まり、なんか良い1日が始まりそう。

 インド人がオーナーの行き付けのAVISで車を借り、いざ出発。この日も3ランクほど上の車を貸してくれた。いつも1番下のクラスの値段で、時にはすごい車を貸してくれる彼ら。いつも笑顔で送って、笑顔で向えてくれる、明るい夫婦のレンタカー屋さん。

 フリーウェーへと向う途中、朝食にと馴染みのドーナツ屋さんへと立ち寄った。私達はコーヒーをすすりながら、彼は1番のお気に入りのハム&チーズ入りクロワッサン、私はクルミ&ココナッツ入りマフィンで1息ついた。ホッと落ち着くひととき。コーヒー1杯は、オーナーであるダラさんのお姉さんからのサービスだ。

m1  さてこの日、向かう先は家から車で20分程の所にある、日本でもお馴染みのMOONEYES、その本店。そこで行われたオープンハウスBBQパーティーである。お店に乗り付けられるカスタムカーが楽しみだ。
 到着した頃には、m2
お店の敷地内やその周辺の道端には、多くのカスタムカーが並び人々がアリのように群がっていた。そしてロカビリーバンドの「Hot Rod Trio」が、ファイヤーパターンの楽器をかき鳴らしながら会場をさらに盛り上げる。カーショー独特の雰囲気。

 あるブースの前で私達は足を止めた。ピンストライパーの2人が、お客さんからの依頼でサングラスにピンストライプを施しているのだ。

「VON HOT RODや。日本のロウブロウアートのショーにも招待された事がある、有名なピンストライパーやよ。」

私は彼の手元に釘付けになった。細い筆先から描き出すそれは、神業のよう。

「私もしてもらいたい!」

「カメラにしてもらったら?」

 m4 私の愛用のカメラ。3年前の誕生日にフィアンセがプレゼントしてくれたものだ。ブログで大活躍中のデジカメ。
VON HOT ROD氏は快く引き受けてくれ、m5 色も彼任せ。彼は数秒カメラを眺め、そして一気に筆を走らせ始めた。
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そして出来あがったのがコチラ。1番下にハートがさりげなく入った、世界に1台のデジカメ。嬉しい。カッコイイ。ありがとう。

 フィアンセにもすごく幸運な出来事があった。それは屋根付きのガレージで行われていたフォトギャラリーを覗いた時である。壁中に並んだ、数々のカスタムカーの写真。その中に彼がいつも愛読している日本の車のある雑誌で、1番気に入っていた写真がそこに飾られていたのだ。

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カメラマンのZAP TESHIMA氏。本人のギャラリーであったのだ。実は以前のカーショー等で私達を見かけて覚えて下さっていた。ここでアメリカで活躍する日本人に出会えたのだ。そしてフィアンセが見つけたその1枚の写真、それをなんとわざわざ現像していただけるらしい。同じオレンジ郡で暮らすZAPさん。ギャラリーで店番をする傍ら、外に飛び出だし急いで車の写真を撮り、またギャラリーへと飛んで行く。自信に溢れた素敵な49歳、気さくな少年のような方。


 この日は色々な幸運に恵まれていた。全ては朝の道端で拾った1ドル札から始まった。不思議な1日。幸運な土曜日。


  
               7月18日 11:17