ありがとう、パディー。 | 人種のルツボでカリフォルニア生活

ありがとう、パディー。

 またこの日がやって来てしまった。バスドライバーの交代、イコール・・・パディーとの別れ。以前(関連記事 )ドライバーの運行スケジュールは3ヶ月で交代と聞いていたのにもかかわらず、今回はたった2ヶ月間。早い。短すぎるよ。


 私達のバスの生活も、気付いてみれば既に1年と数ヶ月。そもそもそれは悪い奴に車を盗まれた事から始まった。それまでの生活は車で仕事場と家との往復、片道20分の毎日。変化の無い日々。それがたった1日にしてガラリと変わったのだ。朝は2時間も早く起き、バスの時間に合わせて家を出る。そして、いつもより何時間もバスを利用する為に今までとは違う時間を過ごす。そのエクストラの時間が、私にとても大きな影響を与える事となったように思う。何よりも、1人で考える時間がかなり増えたという事。そして、バス停やバスの中で出会う、数え切れない人との一期一会。狭かった視界がぱぁっと広がったような、もう1つ向こうのアメリカに出会ったような不思議な変化。そしてパディーによって、ネイティブ アメリカンの姿を垣間見る貴重な貴重な経験をさせてもらった。


 パディーとの最後の朝の時間。今日はもちろんフィアンセも一緒だ。

「GIVE ME A HUG!」

彼女の一声で私達はそれぞれパディーとハグをした。会社から配布された彼女の次のスケジュール表を火曜日に貰っていたので、会う気になれば何時でも会える。運行ルートも今までと同じなのだし。しかしやはり寂しい。こういう日は何時でも苦手だ。

「パウワウで会いましょう。」

彼女の言葉に、私達はもう1度抱き合い別れを惜しんだ。

そして最後に私は5.13.05
カバンからカードを取り出した。フィアンセと、彼女に
サンキューカードを用意していたのだ。運転席に座る明るく優しいパディーのイメージからこのカードを選んだのだ。今までの色々なありがとうを込めて。

 そしてまた新たな出会いが訪れる。バスの生活は変化の連続だ。

 

               5月13
日 00:20